調査方法(植物編)
調査方法
調査は、平成 26 年度から令和元年度にかけて、分類群毎に以下の方法により実施した。
1. 維管束植物(種子植物・シダ植物)
維管束植物の調査は、愛知植物の会が担当した。愛知植物の会では、1992年から前身の愛知県植物誌調査会が中心になって蓄積してきた県内を58区画に分けての全維管束植物の分布資料を基礎に、複数の現行市町村が含まれる区画は枝番を付した区画に分け、必要に応じ追加野外調査や現状確認調査、国内主要標本室の収蔵標本調査を行い、現況および過去の状況を把握した。
調査区画は図1及び表2に示した。調査の単位としてきた58区画は、1992年当時の市町村界を基礎に、二次メッシュに相当するほぼ 100
km²を基準とし、200km²を超える市町村は行政界、地形界、大規模構造物などにより分割し、50km²以下の市町村は合併させるという基本方針で設定し、平成の大合併後の状況に応じて一部修正を加えたものである。
調査記録は、後日必要に応じ再検討できるよう、原則として裏付けとなる標本が公共標本室に保管されているものに限定した。標本の裏付けがない観察記録は、参考情報にとどめた。
ただし、過去に県内で記録されているが現存が確認できず、標本も残されていない一部の種については、今まで愛知県では自然史資料の集積体制が十分でなかったという事情を考慮し、確実と思われるものに限定してリストに掲載した。
図1 調査区画図
地域 | 番号 | 略称 | 範囲 |
東 |
1 | 富山 | 豊根村(旧富山村) |
2 | 豊根 | 豊根村(旧村域) | |
3 | 東栄 | 東栄町 | |
4 | 津具 | 設楽町(旧津具村) | |
6 | 設楽西部 | 設楽町(旧町域の寒狭川・境川以西) | |
7 | 設楽東部 | 設楽町(旧町域の寒狭川・境川以東) | |
8 | 鳳来北東部 | 新城市(旧鳳来町の中央構造線以北、寒狭川・海老川以東) | |
9 | 鳳来南部 | 新城市(旧鳳来町の中央構造線以南) | |
10 | 鳳来北西部 | 新城市(旧鳳来町の寒狭川・海老川以西) | |
11 | 作手 | 新城市(旧作手村) | |
12 | 新城 | 新城市(旧市域) | |
13 | 豊川 | 豊川市 | |
14 | 蒲郡 | 蒲郡市 | |
15 | 豊橋北部 | 豊橋市の東海道本線以北 | |
16 | 豊橋南部 | 豊橋市の東海道本線以南 | |
17 | 田原東部 | 田原市(旧田原町、旧赤羽根町) | |
18 | 田原西部 | 田原市(旧渥美町) | |
西 三 河 |
5 | 稲武 | 豊田市(旧稲武町) |
19 | 旭 | 豊田市(旧旭町) | |
20 | 足助 | 豊田市(旧足助町) | |
21 | 下山 | 豊田市(旧下山村) | |
22 | 小原 | 豊田市(旧小原村) | |
23 | 藤岡 | 豊田市(旧藤岡町) | |
24 | 豊田東部 | 豊田市(旧市域の矢作川・御船川以東) | |
25 | 豊田北西部 | 豊田市(旧市域の矢作川・御船川以西、国道153号バイパス以北) | |
26 | 豊田南西部 | 豊田市(旧市域の矢作川・御船川以西、国道153号バイパス以南) | |
27 | みよし | みよし市 | |
28 | 額田 | 岡崎市(旧額田町) | |
29 | 岡崎北部 | 岡崎市(旧市域の矢作川・乙川・男川以北) | |
30 | 岡崎南部 | 岡崎市(旧市域の矢作川・乙川・男川以南) | |
31 | 幸田 | 幸田町 | |
32a | 刈谷 | 刈谷市 | |
32b | 知立 | 知立市 | |
33 | 安城 | 安城市 | |
34a | 高浜 | 高浜市 | |
34b | 碧南 | 碧南市 | |
35 | 西尾北部 | 西尾市(旧市域) | |
36 | 西尾南部 | 西尾市(旧一色町、吉良町、幡豆町) | |
尾 張 |
37a | 瀬戸 | 瀬戸市 |
37b | 尾張旭 | 尾張旭市 | |
38a | 長久手 | 長久手市 | |
38b | 日進 | 日進市 | |
39a | 東郷 | 東郷町 | |
39b | 豊明 | 豊明市 | |
40a | 大府 | 大府市 | |
40b | 東浦 | 東浦町 | |
41a | 東海 | 東海市 | |
41b | 知多 | 知多市 | |
42a | 阿久比 | 阿久比町 | |
42b | 半田 | 半田市 | |
42c | 武豊 | 武豊町 | |
43 | 常滑 | 常滑市 | |
44a | 美浜 | 美浜町 | |
44b | 南知多 | 南知多町 | |
45 | 犬山 | 犬山市 | |
46a | 扶桑 | 扶桑町 | |
46b | 大口 | 大口町 | |
46c | 江南 | 江南市 | |
47 | 小牧 | 小牧市 | |
48 | 春日井 | 春日井市 | |
49a | 岩倉 | 岩倉市 | |
49b | 豊山 | 豊山町 | |
49c | 北名古屋 | 北名古屋市 | |
49d | 清須 | 清須市 | |
50 | 名古屋北部 | 名古屋市西区、北区、中区、東区、守山区、千種区、名東区 | |
51 | 名古屋南東部 | 名古屋市昭和区、瑞穂区、南区、天白区、緑区 | |
52 | 名古屋南西部 | 名古屋市中村区、熱田区、中川区、港区 | |
53 | 一宮東部 | 一宮市(奥町を除く旧市域) | |
54 | 一宮西部 | 一宮市(奥町、旧木曽川町、旧尾西市) | |
55 | 稲沢 | 稲沢市 | |
56a | あま | あま市 | |
56b | 大治 | 大治町 | |
57a | 津島 | 津島市 | |
57b | 愛西 | 愛西市 | |
58a | 蟹江 | 蟹江町 | |
58b | 弥富 | 弥富市 | |
58c | 飛島 | 飛島村 |
2.コケ植物
調査対象種について、以下の 3 方法により生育状況の把握を行った。なお、調査結果の記録にあたっては、データベース化を考慮し、所定の調査票に記入する方式とした。
・文献調査
既存の文献を収集し、生育場所、確認時期等を調査した。
・標本調査
既存の標本に関する情報を収集し、生育場所、確認時期等を調査するとともに、必要に応じて未同定標本の同定を行った。
・現地調査
現地踏査を行い、生育状況を調査するとともに、必要に応じて文献調査及び標本調査で把握した既知産地の現状についても調査した。