大きくする 元に戻す
HOME > 調査の概要 > 調査対象(動物編)

調査対象(動物編)

1.調査対象

1.哺乳類
 哺乳類の種を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入されたことが明らかな種及び一過性の確認種を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中とした。また、沿岸の海域、干潟、河口部も含むものとした。
 検討対象期間は縄文時代草創期(約 1 万年前)から現在までとし、後期更新世以前の化石として産出した種は検討対象としなかった。

2.鳥類
鳥類の種を単位とし、文献、調査記録、観察記録等により、愛知県に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種及び不定期または偶発的に記録される種並びに一部の外洋性の種を除く種を調査対象とした。
調査の範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中並びに沿岸の海域、干潟、河口部とした。

3.爬虫類
 爬虫類の種を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中とした。なお、海域に生息するウミヘビ類については、明確な記録が少なく除外した。

4.両生類
 両生類の種(亜種を含む)を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中とした。

5.淡水魚類
 淡水魚類の種(亜種を含む)を単位とし、標本により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された魚類を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を除く)の陸水中(河川、湖沼等)とした。
 なお、今回は汽水域に生息する種は対象外とした。

6.昆虫類
 昆虫類の種(亜種を含む)を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種及び一過性の確認種を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中とした。また、沿岸の浅海域、干潟、河口部も含むものとした。

7.クモ類
 クモ類の種を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種を除く種を調査対象とした。
 調査対象範囲は、愛知県内(島嶼部を含む)の陸上及び陸水中とした。また、沿岸の浅海域、干潟、河口部も含むものとした。

8 貝類
 貝類の種(亜種)を単位とし、標本あるいは文献等により、愛知県に確実に生息している(いた)と判断された種のうち、意図的・非意図的にかかわらず県内に移入された種を除く種を調査対象とした。
 対象範囲は愛知県内(島嶼部を含む)の陸域(淡水域を含む)から海域(内湾域)までとした。海域の調査対象範囲については以下に詳記する。
 本県では、平成14年発行の「レッドデータブックあいち動物編」(以下、「レッドデータブックあいち 2002動物編」という。)より陸産貝類、淡水産貝類に加えて内湾産貝類を対象としていた。この時点では各県単位のレッドデータブックに海洋生物、海産貝類を対象として扱っているものは非常に少なかった。和田ほか(1996)によって干潟域の底生生物を対象とした現状が報告され、海産貝類の腹足綱、二枚貝綱が網羅的にリストアップされ 340種もの絶滅種、絶滅危惧種が登載された。
 その後、各県版レッドデータブックも海洋生物、海産貝類を対象として扱うものが多くなり、2012年には日本ベントス学会編集による干潟の絶滅危惧動物図鑑‐海岸ベントスのレッドデータブックが刊行され、それを受けて 2014年に環境省のレッドデータブックでも従来の陸域に加えて、初めて河口域及び内湾の干潟等に生息する種を対象とした。
 本書でも引き続き陸域、淡水域に加えて内湾域を対象とした。また、内湾域と言っても様々な生息場所が含まれているため、以下のとおり河口域のヨシ原湿地、干潟、潮下帯に区分した。

○ ヨシ原湿地
 内湾奥の河口域の中潮線付近より上部に発達したヨシ原群落内の干潟と後背湿地を指し、よく保存されたヨシ原湿地では塩湖、感潮クリークとヨシ原より上部の陸上植生など多様な生息場所に恵まれる(ヨシ原湿地の詳細は 734 頁の Q&A を参照)。

○ 干潟
 河口域の河川内にできる干潟で、河川の堤防に沿って発達する河口干潟と河口域の海に面した部分に海岸線と平行に広がる前浜干潟を含む。三河湾島嶼域などでは岩礁海岸、転石地、礫の多い砂泥底も含まれる。

○ 潮下帯
 本書では干潟より深く、水深約 20 m より浅い部分の海底を指す。本書では砂質、泥質など軟らかい底質の海底を主に調査した。干潮時でも干上がることはないので、直接調査するには潜水、ドレッジなどの特殊な方法が必要である。

 なお、これらの生息場所の定義については水産庁・水産資源保護協会(1988)、木村・木村(1999)に準じ、潮下帯の最大水深については本書で新たに定義した。
 上述の生息場所は連続的に立地するが、各生息場所にはその生息場所にのみ特有な貝類も多い。